健康寿命を延ばそう! シニア期のケア①

執筆獣医師 小堀 幸美

シニア期は病気が増える時期でもありますが、適切なケアを行うことで健康寿命を延ばし、元気な時間を長く過ごすことができます。

今回はシニア期に起こる変化と、そのケア方法についてご紹介します。

そもそもシニア期は何歳からでしょうか?

一般的に、

小型犬・中型犬:7歳頃~

大型犬:5歳頃~

猫:7歳頃~

シニア期に入ると言われています。

年齢を重ねるにつれて、体には少しずつ変化が現れます。

まずはその変化を知ることが、健康寿命を延ばす第一歩です。

 

健康寿命が大切

 

アニコム家庭どうぶつ白書によると、犬の平均寿命は14.1歳、猫の平均寿命は14.5歳です。

しかし、平均寿命と健康寿命は同じではありません。

最後の1~1.5年ほどは、病気の治療や介護が必要になるケースも少なくありません。

人と同じように、ペットにも「健康寿命」があります。

ただ長生きするだけでなく、

 

自分の足で歩く

ごはんをおいしく食べる

好きなおもちゃで遊ぶ

家族との時間を楽しむ

 

そんな、その子らしい生活をできるだけ長く続けることが大切です。

シニア期の変化を早めに知り、適切なケアを始めることで健康寿命を延ばすことにつながります。

今回はシニア期に見られる変化を5つに分けてご紹介します。

 

1. 筋肉と関節の変化

年齢とともに筋肉量は少しずつ減少し、関節には炎症が起こりやすくなります。

 

ワンちゃんの場合

お散歩に行きたがらなくなる

段差をためらう

動き出しがゆっくりになる

おもちゃで遊ばなくなる

といった変化が見られるようになります。

「歳のせいかな」と思われがちですが、関節炎や痛みが隠れていることもあります。

 

ネコちゃんの場合

高いところに登らなくなる

おもちゃで遊ばなくなる

おとなしくなる

グルーミングをしなくなる

といった変化が現れます。

猫は痛みを隠すのが得意な動物です。

高い場所に登らなくなったり、寝ている時間が増えたりした場合は、加齢だけでなく関節炎が原因になっていることもあります。

 

ケアのポイント

・爪切りや足裏の毛をこまめに整える

爪が長いと歩きづらくなり、足裏の毛が伸びていると滑りやすくなります。

・滑り止めやステップを利用する

床で滑らないようマットを敷いたり、ソファやベッドの昇り降りにはステップを利用したりすると足腰への負担を軽減できます。

・高さのある食器を利用する

床まで首を伸ばす姿勢が負担になることがあります。

できるだけ自然な姿勢で食べられる食器を選びましょう。

・適切な体重管理をする

体重が増えると関節への負担も大きくなります。

・適度な運動を続ける

無理な運動は必要ありませんが、筋肉を維持するためには毎日少しずつ体を動かすことが大切です。

・サプリメントや痛み止めを利用する

関節の炎症を抑えるサプリメントや、痛みがある場合には痛み止めを利用することで快適に過ごせることがあります。

近年では腎臓への負担が少ない注射タイプのお薬も使用されています。

 

2.代謝の変化

シニア期になるとエネルギー要求量が変化し、体重が変化しやすくなります。体重が10%以上増えたり減ったりした場合は、病気が隠れている可能性があります。

早めに動物病院へ相談しましょう。

体型のチェックにはBCS(ボディコンディションスコア)がよく使われます。

しかしシニア期では筋肉量が減って脂肪が増えることがあり、BCSだけでは評価しきれない場合があります。

そのため最近では、筋肉量を評価するMCS(マッスルコンディションスコア)も重視されています。

 

ケアのポイント

・シニア向けの食事を選ぶ

年齢に合った栄養バランスの食事を選びましょう。

おやつの与えすぎは肥満や肝機能の異常につながることがあります。

・定期的に体重を測る

体重の変化は体調不良のサインになることがあります。

ご家庭でも定期的に測定し、記録をつけることをおすすめします。

・排泄の変化を観察する

シニア期は腎臓病や糖尿病などが増えるため、

水を飲む量

おしっこの量

うんちの回数

便の状態

などをよく観察しましょう。

普段との違いに早く気づくことが病気の早期発見につながります。

 

次回は「皮ふ・被毛・爪の変化」と「感覚器の変化」「認知機能の変化」についてご紹介します。

シニア期に見られるサインを知り、愛犬・愛猫の健康寿命を延ばしていきましょう。